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仕留めたシカに向かって祈る松橋翔さん=2024年11月14日午前6時すぎ、岩手県大槌町、松橋さん提供
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 岩手県大槌町の地域おこし協力隊員を3年間務め、獣害対策やジビエ事業などに携わった松橋翔(かける)さん(27)が今春、任期を終えて故郷の秋田県北秋田市に戻る。そして、江戸時代から続くマタギ(獣を狩猟してなりわいにする人)の16代目になる。

 松橋さんの実家がある阿仁地区は伝統的なマタギ集落で、祖父の故・時幸さんは頭領だった。

 松橋さんは大学生の頃に、将来は貴重な家系で育ったことを生かして地元で暮らそうと決めた。秋田で小学校の教員を2年、東京でウーバーイーツの配達員を1年して視野を広げ、シカを狩猟して加工・販売する大槌町のジビエの会社「MOMIJI」を知った。

 奪った命を最大限に生かし、害獣を財産にする文化を創るという考えに共感した松橋さんは、2022年春から町の地域おこし協力隊員となり、MOMIJIで修業を始めた。

 狩猟免許を取り、同年末から…

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