築90年の空き家を民泊施設によみがえらせた。
静岡を訪れる観光客と地元の人をつなぐ、結節点のようになれば。静岡市の桜井貴斗さん(38)は、泊まるだけでなく、公民館のような場が理想だと考えている。
場所は静岡市南部の港町・用宗。高齢化が進み、空き家も増えていた。地元の人たちにも協力してもらい、一緒に改装に着手した。壁を塗り替え、家具をそろえて最大14人が泊まれる施設に生まれ変わった。改装資金を得るためクラウドファンディングを立ち上げると、245人から目標額500万円を超えるお金が集まった。民泊の名は「ミクソロジーハウスふじや」。「混ぜる」を意味するMix(ミックス)と「科学、学問」を意味する「―Ology(オロジー)」を組み合わせた造語といい、「いろんなものが混ぜ合わされる場所に」という思いを込めた。
観光に携わるのは初めてだ。静岡市で育ち、東京の大学を卒業後、大手の求人メディア会社「アルバイトタイムス」に入社した。最初に配属されたのがふるさと静岡の事業所だった。
広告営業で多くの静岡の人たちと接し、ウェブマーケティング事業の立ち上げなどに携わった。静岡の人たちが何を好むのか、どんなことを求めているかを突き詰めるはずのマーケティングなのに、都市部の会社が担うことが多かった。地域に根ざした存在が少ないことに気がついた。
「いないなら、自分がやればいい」。会社を辞め、2022年に静岡市で起業した。
ふるさと盛り上げるカギは「観光、なかでもインバウンド」
首都圏に近い静岡市は人口の…