直径5・6メートルに及ぶ巨大なモンゴルの円形家系図が、奈良県天理市の天理大学付属天理参考館の企画展で公開されている。モンゴルの一地方を治めたハーン(首長)のもので、書かれた名前はなんと1万人以上。世界最大級の家系図だという。
天理参考館は、世界中の民族資料を収集している。今回の家系図は、13世紀にモンゴル帝国を打ち立てたチンギス・ハーン(1162?~1227)の子孫で、モンゴル南東部のハルハ部を支配したショロイ(1577~1655)を始祖とするチェチェン・ハーン一族のもの。中心のショロイから同心円状に、男系男子の子孫の名前が世代ごとに書かれている。1905年の作製時点で14世代、総計は約1万2千人を数える。
19代目のチェチェン・ハーンだったアクワン・ナリンの時代に、モンゴルは社会主義国として中国から独立。姓の使用が廃止され、家系図の作製も途絶えた。こうした巨大家系図の類例はモンゴルにも3例しか残っておらず、世界的にも非常に貴重な史料だという。
この家系図が同館に収蔵された経緯は、記録が残っておらずよく分かっていないが、同館は1930年の創立当初から東アジアの資料の収集に力を入れており、家系図の入手も戦前にさかのぼる可能性がある。梅谷昭範学芸員は「大阪・関西万博が開催中でもあり、世界中から関西を訪れた多くの人に見ていただければ」と話している。
この家系図が展示されている企画展「絆―ヒトとヒトをつなぐモノ―」では、様々な形の人間関係をテーマに、世界中の結婚や出産、祭礼などに関する資料、計約80件が並ぶ。
6月2日まで。4月は22、28、30日、5月は7、13、20、27日休館。大人500円、小学生~高校生300円。問い合わせは同館(0743・63・8414)へ。