Smiley face
写真・図版
ハナサキガニの稚ガニ=北海道根室市、山本智之撮影

 北海道根室市で15日、地元名物の「ハナサキガニ(花咲ガニ)」の稚ガニの放流が始まった。近年は漁獲量が低迷しており、放流によって資源量を増やすのが狙い。18日までに、計58万匹を海に放つ計画だ。

 ハナサキガニは、ゆでると鮮やかな赤色になる。一説によると、まるで赤い花が咲いたように美しいことからその名がつけられたという。食用のカニの中では希少とされ、濃厚な旨味(うまみ)で人気が高い。

 タラバガニ科の一種で、全身が鋭いトゲに覆われている。浅海から水深200メートル程度までの海底に生息。カニという名前だが、分類上はヤドカリの仲間だ。

 ロシアのサハリンやカムチャツカ半島にも生息するが、日本国内では北海道内の限られた海域にだけ生息する。

 この日放流された稚ガニは、まだ甲羅の大きさが2ミリほど。親ガニと違って体の色は薄い。カニというより、小さなクモのようにしか見えない。

 根室市水産研究所によると、順調にいけば、放流から5年後には甲羅の幅が8センチ以上に育つという。

 根室市内で水揚げされるハナサキガニの量は、1990年代前半には400トンを超す年もあったが、昨年は約75トンと不漁が目立つ。

 同研究所の工藤良二所長は「放流した個体が無事に生き残ることを期待している。今後もハナサキガニの資源の増大に努めたい」と話している。

共有