だれに入れようかな――。20日投開票の松江市長選に合わせて、子どもにも選挙を体験してもらおうと、島根大学の学生たちが「こども投票」を企画した。実際の投票所の近くに投票箱を設置し、「小さな一票を投じてもらいたい」としている。
こども投票は島根大行政学ゼミの主催。投票日の20日、ゼミ生16人が、投票所の城北小学校(東奥谷町)、川津小学校(西川津町)に出向き、親に付き添ってきた子どもに投票を呼びかける。
敷地内に設ける模擬投票所には、実際の選挙と同じ投票箱を設置。各候補者の重点政策をピックアップした「候補者カード」や、選挙公報や報道機関の候補者アンケートの回答を貼り付けたスケッチブックを見せながら、投票したい人を選んでもらうという。難しい単語や用語は学生たちがわかりやすく説明する。
また、願いごとを書き添える「みらい投票」もしてもらい、選挙が終わったら当選者に届ける予定だ。
行政学ゼミでは、2022年の参院選で初めて「こども投票」を実施し、今回で5回目。指導する毎熊浩一教授は「選挙は親子で地域の課題を考えるよい機会」と話す。
4年生の池渕匠さん(21)は「まずは楽しんで政治に触れてもらうのが目的」といい、選挙にまつわるクイズも準備しているという。
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毎熊浩一・島根大教授に聞く 投票する意義とは
「投票する」ということは、社会や地域の課題を「自分ごと」として考えるきっかけになるはず。選挙後に自分が一票を投じた人がどう課題に取り組んでいるのかもチェックするようになる。
たくさんの人が投票すればするほど、当選した人にとっては「公約に掲げたことをしっかりやっていかないといけない」というプレッシャーになるし、特定の支持者だけでなく、いろいろな人たちの声を意識せざるをえない。投票率が低いと、特定の支持者、業界に目が向きがちになる。
今回の市長選は、再選をめざす現市長の業績を評価する選挙でもある。島根原発再稼働や松江城近くでのマンション建設問題などさまざまな課題にどう向きあったのか、これからの取り組みも問われる。
一方、市議選は、市民の声を届ける身近な存在の議員を選ぶ選挙だが、活動を知らない、そもそも接点がないといった人は多いだろう。
まずは自分にとって切実な問題を基軸に、選挙公報や候補者のホームページやSNSなどを見て判断してみてはどうだろうか。