解散命令請求された宗教法人の財産流出を抑止する特例法に基づく「指定宗教法人」の清算について、文部科学省は18日、今秋をめどに指針を作ると発表した。
東京地裁に解散を命じられた世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を念頭に置いている(教団は東京高裁に即時抗告中)。被害者救済と信教の自由への配慮を両立させた指針の策定により、円滑な清算の実現を目指すという。
旧統一教会は昨年3月に指定された。不動産を処分したり担保にしたりする際、同省への通知が義務づけられている。
宗教法人法によると、解散命令が確定した場合、法人の財産は、裁判所が選ぶ「清算人」の管理になる。ただ、清算人について宗教法人法は、債権取り立てなどのため「必要な一切の行為をできる」と抽象的に定めるだけで、具体的な権限を明記していない。また、国もこれまで、関係の指針を作ってこなかった。
旧統一教会に解散が命じられたことを受け、高額献金などの被害を訴える人たち側から「清算人の権限があいまいだ」という懸念の声があった。関係者によると、こうした声を受け、法的拘束力はないが、指針の策定を決めたという。
指針策定に向け、法律家、宗教家などの有識者による検討会を立ち上げる。来月をめどに初回の会議を開き、宗教法人の財務状況の調査や、被害者への弁済の方法、信教の自由への配慮などを議論する。