札幌市東区のモエレ沼公園に新たに国内最大級の硬式野球場が完成し、オープニングイベントをを翌日に控えた19日、内覧会が開かれた。モエレ沼公園を設計した世界的な彫刻家イサム・ノグチの構想に沿った配慮がなされている。
正式名称は「モエレ沼公園野球場」。札幌市によると、新球場は同公園内の軟式野球場を硬式用に転用したもので、総工事費は37億3300万円。改修は2023年3月に開始され、25年2月までに終了した。両翼は当初、札幌ドームと同じ100メートルを予定していたが、「上空から見た球場全体の形が円形になる」ように市と監修者らの間で調整がなされ、1.5メートル伸ばした。
球場は鉄筋コンクリート造りの3階建て。一塁と三塁の観客席の下に、2人が投げられる屋内ブルペンを設け、屋内練習にも利用できる。野球関係者から「子どもたちの冬季の練習場所がほしい」という要望が多かったといい、利用料は学生が1時間1700円、一般3300円。電光スコアボードやスピードガンを設置し、座席数は250席から約4千席へと大幅に増やした。
また、新野球場は、改修前から向きを180度回転。これにより、公認野球規則が示す理想(本塁から二塁への方向は東北東)の向きとなった。
増席したスタンドが、公園の端に移動、公園中心部から離れることで、景観上の影響も最小化した。
バッターボックスから右翼後方を見ると、モエレ山がそびえ立つ。高さ52メートル、不燃ゴミと建設残土を積み上げ造成された人工の山が新球場のシンボル的な存在となりそうだ。
札幌では初のナイター照明付き市営屋外硬式球場となる。北海道野球協議会の柳俊之理事長らが、署名活動などを通して、新球場の建設を求めてきた。
照明についても同様に、芸術的な観点に基づいて検討され、既存施設との調和を図り、プロ仕様の高さ40メートルに満たない25メートルのものが6基設置された。通常のナイトゲームには問題ないが、プロ野球の試合は、照度が基準に足りず開催できないという。
市内にはアマチュア野球の聖地とされる円山球場(中央区)があるが、老朽化が進み、26年度から改修工事が予定されている。麻生球場(北区)も同様の理由で25年度から工事が始まった。札幌市営の屋外硬式野球場はこの2カ所のみで、ハイシーズンには市外の球場を使わざるを得ない状況があり、関係団体から3カ所目の硬式球場を求めて要望が出ていた。
さっそく公式戦でも用いられ、5月には、春季高校野球大会の札幌地区大会、6月下旬には高校野球選手権大会の札幌地区大会を予定する。
20日にオープニングイベント(雨天中止)を予定しており、元北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹さんが始球式を務める。子ども向けの野球教室も開く予定(申込終了)。市の担当者は「たくさんの思い出が作られ、市民のみなさまに愛される球場となれば」と話す。
野球場の付近には三つのバス停があり、徒歩15~30分かかる。自動車で訪れる場合、公園東口のP1駐車場(1200台)や、西側のP4駐車場(100台)などを利用できる。