北九州市小倉南区内のファストフード店で昨年12月に起きた中学生殺傷事件では、近所の無職男性が容疑者として逮捕された。同市で孤立や貧困の問題に取り組んできた認定NPO法人「抱樸(ほうぼく)」の奥田知志理事長(61)は、「事件を防ぐためにできることはなかったのか」と自問する一人だ。事件をめぐる思いを尋ねた。
- 石田光規・早大教授「つながる体力、失われている」
――事件をどう感じましたか。
近隣住民は、容疑者が大きな音を出すなど異変に気づいていたとのことです。大きな音というものは、孤立を感じている人が「私はここで生きているんだぞ」と存在を示すために出すことがあります。過去には孤立を感じてネット上で「叫び声」をあげた人が凶悪事件を起こした例もあります。今回の容疑者も孤立感を抱いていたのかもしれない、と考えてしまいます。もちろん、そうだとしても許されることではありません。
――住民たちは容疑者の問題行動を受けて2度、警察を呼んでいたそうです。
地域の人は恐怖を感じていた…