清貧を信条とし、物言いは気さく。「人々とともにありたい」と公言するフランシスコ教皇は、カトリック教会の保守性やローマ教皇庁(バチカン)の官僚主義を打破する期待を背負ってきた。ただ、12年に及ぶ任期で見せたのは、慣例にとらわれない「改革者」の姿だけではなかった。
フランシスコ教皇は1月、世界の修道会を管轄するバチカンの「省」のトップに初めて女性を任命した。一昨年の世界代表司教会議(シノドス)では、教義に関する提言や決議を承認する投票権を女性にも認めた。2千年の伝統を守るローマ・カトリック教会で、女性登用の扉を開いた教皇の功績は大きい。
しかし、司祭の下の職位にあたる助祭への女性の就任は実現しなかった。教皇が委員会を設置してこの問題の検討を進めてきたが、昨年10月のシノドスでその議論は打ち切られた。
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バチカン周辺での抗議デモにポーランドから駆けつけたスザンナ・ラジクさん(41)は「教皇は女性の声に耳を傾けようとした就任当初の姿勢を失った。一般の信徒や教会は女性聖職者を迎える準備ができているのに、バチカンだけが改革を拒んでいる」と失望を隠さなかった。
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