国際通貨基金(IMF)は22日にまとめた「世界経済見通し」で、2025年の世界の実質経済成長率を2.8%と予測した。前回1月の見通しから0.5ポイントの大幅引き下げ。トランプ米大統領の高関税政策により、ほぼ全ての主要国・地域の成長率が引き下げられた。米国自身も前回から0.9ポイント減と深手を負う見込みで、「勝者なき貿易戦争」に陥りつつある。
世界の成長率が3%を割り込むのは、コロナ禍のもとでマイナス成長に陥った20年を除くと、トランプ第1次政権下で米中貿易摩擦が深まるなどした19年(2.9%)以来。26年は3.0%へと小幅上昇を見込むが、00~19年の平均成長率(3.7%)には及ばない低成長が続くとみられる。
国・地域別の25年の成長率は、高関税を連発する米国が1.8%で、コロナ禍を除けば16年以来の2%割れを見込む。前回見通しから0.9ポイントもの大幅減となる。貿易摩擦の激化などによる需要の減速を織り込んだ。
一方、米国から145%の追加関税をかけられた中国は、不動産不況も相まって同0.6ポイント減の4.0%成長にとどまりそうだ。異例の高関税の応酬で、1位と2位の経済大国がそろって沈み、世界経済は牽引(けんいん)役を失っている。
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