東日本大震災の被災者に、市町村を通じて最大350万円を貸し付ける災害援護資金について、市町村の判断で返済期限を猶予した場合、自治体から国などに返済する期限も延長できることになった。災害援護資金に詳しい関西大学の山崎栄一教授(災害法制)に課題を聞いた。
- 東日本大震災の災害援護資金、自治体の返済延長 滞納肩代わり回避
――期限延長について、どう評価するか。
「貸し付けて、返済期限が来た災害援護資金を市町村がまだ回収しきれていない。期限の延長を認めないと、被災者から未回収の資金を市町村が肩代わりすることになるため、今回の措置はやむを得ない」
「災害援護資金の貸し付けには『1人世帯で年間220万円未満』などの所得制限があり、低所得者を対象にした社会福祉的な側面もある。もともと返済能力が低い人にも貸し付けているため、最初から返済や回収が困難になることを内包している制度であることが、問題の根底にある」
阪神・淡路大震災でも回収コストの課題に直面
――返済期限の延長が問題解…