医療機器メーカー「ニューベイシブジャパン」(東京都中央区)の営業担当者が医療機関での手術中、資格を持たずに他社製のX線装置を操作していたことが発覚した。手術室で違法行為がなされたことをどう捉えれば良いのか。患者の安全に詳しい名古屋大病院患者安全推進部の長尾能雅(よしまさ)教授に聞いた。
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非常に由々しき問題だ。
放射線は人体に大きな影響を与える恐れがあるため、厳格な管理が求められ、仮に軽微な照射であっても、その目的を果たすための最少の線量に抑えなければならない。
手術では患者に放射線を照射しながら体内の状態を確認することがある。特に長時間に及ぶことが多い整形外科手術などでは、おのずと照射時間も長くなる。皮膚や背骨付近の臓器だけでなく、一歩間違えれば脊髄(せきずい)などの神経を損傷させるリスクもある。病院内部のスタッフの放射線被害にも関わる問題だ。
無資格のメーカーの営業担当者が他社製の機器を使っていたなら、思わぬ機器トラブルに適切に対応できず、事態が収拾できなくなる可能性もある。
無資格者、国際基準は制限かける
照射する線量のレベル、範囲…