イギリスの最高裁判所が16日、同国の平等法が保護対象とする「女性」の定義は「生物学上の女性」だとする判断を下した。イギリス最高裁の判決をどう解釈し、どう向き合えばいいのか。東北学院大の小宮友根准教授(ジェンダー論)に聞いた。
ひとの性別に「唯一正しい定義」ない
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人間の性別というのは、どこかに唯一正しい定義があってそれに従って成立しているものではなく、さまざまな社会的文脈に応じて成立している現象です。
特定の法律のもとでの「性別」、日常生活の中で自己提示し他者から理解される「性別」、医療などで考慮される解剖学的または生理学的「性別」――。それらが重なりつつ異なったものとして存在しているのが「性別」の実際のありようです。
今回のイギリス最高裁の判決は、基本的には平等法が用いる用語としての「性別」に、一貫した解釈を与えようとしたものでした。それはあくまで特定の法における用語法についての判断であって、他の文脈での性別のあり方を規定するものではない点に注意が必要です。
- 「女性」の法的定義めぐるイギリス最高裁判決 識者からの警鐘
そもそも「平等法」がない日本
「法が、性別を定義した」な…