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 地球温暖化との闘いにおける強大な力が、見過ごされている。世界の80~89%という圧倒的多数の人々が、自国の政府に、より強力な気候変動対策を求めているという、科学的研究が増えているのだ(https://89percent.org/)。

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 この調査結果には驚いた。そして、気候変動に関心を持つ人々を攻撃しようとするトランプ政権への鋭い反論でもある。

 ここ何年もの間、特にこの政治的に危うい時期に、気候危機に関する報道の大半は守勢だった。気候変動対策を支持する人々は、選挙で選ばれた政治家や化石燃料産業、ニュース報道やソーシャルメディアの言説によって、自分たちの意見は少数派であり、非主流派であると知らず知らずのうちに思い込まされてきた。

 しかし、今回の調査結果はそうではない。

 国連とオックスフォード大学が実施した最新の調査「People’s Climate Vote 2024」では、貧困国では、国民の89%が気候変動対策の強化を望んでいた。先進国では、3人に2人がより強い行動を望んでいた。富裕層と貧困層を合わせると、「(世界の)80%の人々が、政府による気候変動対策の強化を望んでいる」。

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気候正義を求める大規模なデモ行進。「地球を救え」とのプラカードを掲げる子どもの姿も見られた=2021年、英グラスゴー

 気候変動に関する世論調査の分野で、世界最高水準である米イエール大学は、米ジョージ・メイソン大学とともに多くの研究を発表しており、同じ点を明らかにしている。ほとんどの国で、ほとんどの人々が、気候変動に対するより強力な行動を望んでいるという事実だ。

 ネイチャー・クライメート・チェンジ誌に発表された研究は、「89%」のさらに興味深い点を示している。「世界中の人々は、同胞である市民の行動意欲を組織的に過小評価している」

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 言い換えれば、圧倒的多数の人々が、気候変動に対するより強力な行動を望んでいる。しかし、少なくとも今のところ、この世界的な気候変動の多数派はサイレントマジョリティーである、ということだ。

 この新しい調査結果を総合すると、気候変動に関する意見についての従来の常識が覆される。多くの政府や企業が、化石燃料を迅速に廃止することから立ち止まったり、後退したりしている。

 一方、地球上の10人中8人以上の人間が、住みやすい未来を守ることを政治家に望んでいるという事実は、希望の光を与えてくれる。問題は、この大衆の感情をどのように効果的な行動に移せるかだ。

 もしこのサイレントマジョリティーが目覚めたら、つまり、遠い国や自分たちのコミュニティーで、自分たちと同じように考え、感じている人々がどれほど多いかを理解するようになったら、どういうことになるだろうか。

 市民として、消費者として…

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