TBSテレビは25日、芸能関係者と社員の関係の実態把握のために行っている調査で、過去の番組出演者によるハラスメントについて「当社の対応が不十分であった事案」を確認したと発表した。当時のハラスメントに対する認識や体制が不十分だったとし、「社員を守れなかった事実」を認めて謝罪した。
同社は、元タレントの中居正広氏をめぐる週刊誌報道などを受け、1月半ばから社内調査を始めた。社内のコンプライアンス部門と社外の弁護士が、アナウンサーを含む社員、役員、退職者ら計102人を対象に会食などの実態についてヒアリングやアンケートを実施。2月21日には、中居氏やフジテレビ社員が出席した会食に、TBSテレビの女性アナウンサーが誘われて参加したことなどを明らかにしていた。
今回は、アナウンサーが被害を受けた四つの事案を新たに確認したとして公表した。約15年前には、番組の懇親会でアナウンサーが番組出演者にキスを求められて困っていたにもかかわらず、その場にいたプロデューサーらが止めなかったという。
また約20年前には、アナウンサーが番組出演者に食事に誘われ、交際を迫られる事案があった。アナウンサーが上司らに被害を訴え、責任者が出演者に口頭で注意したが、降板などの措置は取らず、アナウンサーは強い不満を持ったという。このほか、複数のアナウンサーが、番組出演者から身体接触の被害を受けていたが、いずれも適切な対応が取られなかった。
被害を証言した一人は「昔だから仕方ないという考えはやめてほしい。心の傷となって、話すまでかなり時間がかかった」と述べたという。同社は人権課題を学ぶ講座やハラスメント講習などを実施。今後も、重大なコンプライアンス違反の事実が確認された場合は速やかに公表するとしている。
他の民放各社もこれまで調査などを実施している。
テレビ朝日は22日、番組出演者と社員との関係性に問題がないかに関する調査の結果を新たに公表した。番組出演者からの不適切な言動は確認されなかったとしたが、一部社員からは、管理職から「女性の役割として会食の場を盛り上げる」よう言われたことがあるという回答もあったという。
コンプライアンス担当部門が、アナウンサーや、取引先との会食が必要な部署の社員約90人を対象に聞き取りなどの調査を実施した。3月には人権をテーマとした「コンプライアンスハンドブック」を発行し、今後は冊子をもとに全社員を対象に研修を行うという。
また日本テレビは2月に、「性的接触を伴う不適切な会食」に関するヒアリングなどの調査結果について、「不適切な会食はなかった」と発表している。今月21日の定例社長会見では、ビジネス上の人権課題を把握するため、3月後半に全社員を対象にアンケートを行ったとも明らかにした。過去1年間にハラスメントがあったかを質問し、「ゼロという結果ではなかったが、フジテレビの第三者委員会の指摘にあったような案件はなかった」とした。テレビ東京も22日、昨年から実施しているアンケートや追加の聞き取り調査の結果を公表。会食などにおける性被害について期間を設けず尋ねたところ、該当する回答はなかったという。