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川崎重工業の神戸工場近くに設置されたトラウトサーモンの養殖いけす=神戸市中央区
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 魚の養殖をどこでも可能にする技術に川崎重工業が取り組んでいる。これまでは海流などの条件で場所が限られていたが、本業で磨いた技術をいかした新手法を開発。消費地に近い場所で養殖を行えば輸送コストが抑えられるなどの利点があり、数年内の実用化を目指している。

 新システムは、ビニール製で外から水が入ってこない直径約5メートルの円筒型いけすを海に浮かべて使う。くみ上げた海水を濾過(ろか)・殺菌し、酸素を加えていけすに掛け流しにしながら魚を育てる。無菌状態で育てられるので寄生虫の心配がなく、餌に薬を混ぜる必要もなくなるという。

 2022年からマルハニチロと協力して実証実験を始め、今年1月からは神戸工場(神戸市中央区)の岸壁のそばでトラウトサーモンを使った本試験に入った。4月24日には平均2キロまで育った約200尾を岸壁のクレーンなどを使って水揚げした。

 川重が下水プラントなどで培った水処理の技術を活用し、濃度の変化に応じて自動で酸素の供給量を調節。LNGの運搬船で培った液体の揺れを抑える技術も使い、魚のストレスをなくして生育をよくしている。

船舶などの開発技術を応用

 また、海水の流れの分析には航空・船舶などの開発で培った流体の解析技術を応用。海水の流れを高い精度でシミュレーションし、注水装置などの配置を最適化しているという。

 網を使った開放型のいけすを…

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