Smiley face
写真・図版
東京女学館の花壇で見ごろを迎えている「アンネのバラ」。アンネのバラ実行委員会の中村梨乃さん(左)と南春霞さん=2025年4月26日、東京都渋谷区、野田枝里子撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 東京女学館中学・高校(東京都渋谷区)の花壇で、「アンネのバラ」と名付けられたバラが、大切に育てられている。第二次世界大戦中、強制収容所で命を落とした少女を偲んでつくられたバラを通じて、過去の戦争の歴史や平和への思いについて学んでほしい――。25年前に同校で始まった取り組みは、今もその「火」を絶やさずに続いている。今年もアンネのバラは、見ごろを迎えた。

  • 東京女学館中高校長から受験生へ 生徒たちは「ダイヤモンドの原石」

 「アンネのバラ」は、「アンネの日記」の著者、アンネ・フランク(1929~45)をしのび、ベルギーの園芸家が新作のバラに命名。アンネの父を通じて日本にも贈られ、各地で平和の象徴として愛されているバラだ。つぼみの時は赤く、花が咲き始めるとオレンジ色に、そして淡いピンク色に変わっていく。

 同校卒業生で、アンネ・フランク研究家の故・黒川万千代さんから寄贈された1株を、2000年春に花壇に植えたのが始まりだった。生徒数人の有志で「アンネのバラ実行委員会」を立ち上げ、週3回の水やりや雑草取りや剪定(せんてい)も行い、大切に育ててきた。接ぎ木をして、今では60株以上に増えた。福原孝明館長は「大事な1株を枯らすわけにはいかなかった」と振り返る。

 バラを通じて、その歴史的背…

共有