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A-Stories 武器輸出拡大の舞台裏 緊迫の自公交渉

 年が明けた2024年1月17日。公明党幹部が再び内部会議を開いた。

 政調会長の高木陽介が「総理に本気でやるんだという気合が感じられない」とぼやくと、副代表の北側一雄も「22年に次期戦闘機の共同開発を決めた時、第三国への輸出はしなくてもいいと思っていたはずだ。それが23年に急に方針が変わった」と同調した。これに代表の山口那津男も「結論を出す期限を総理から言われたことはない。リーダーシップを感じない」と不満を漏らした。

 一方、自民党派閥の裏金問題で退任した政調会長の萩生田光一のあとを継ぎ、武器輸出をめぐる公明との交渉の表舞台に出てきた渡海紀三朗。待ち受けていたのは、自民党内からの突き上げだった。

  • 【連載の初回の記事はこちら】行き詰まる自公協議 ベテラン政治家は局面打開に向けどう動いたか

 2024年3月に決定された武器輸出規制の大幅緩和。決定に至るまでの自公交渉は予想以上に難航しました。戦後安保政策大転換の舞台裏で一体何が起きていたのか、当事者たちの証言を交え、徹底検証します。

自民の不満吹き出す「連立解消を」

 1月31日に党本部で開催された安全保障調査会と国防部会の合同会議では、出席した議員から「連立を解消してでも国益のために装備移転を進めるべきだ」「公明の理解が得られなくても進めるべきだ」などと公明への不満が噴き出した。

 安保調査会長でもある実務者…

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