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ニデック本社=京都市

 ニデックは8日、牧野フライス製作所への株式公開買い付け(TOB)を撤回し、買収から撤退する方針を発表した。牧野側の対抗措置への差し止めを求めた仮処分申請が7日、東京地裁に却下されたことを受けて判断した。国内では異例の「事前交渉なし」の買収提案は実現しないまま、幕引きを迎えた。

 TOBは4月4日に開始していた。ニデックは撤回理由について、牧野側の対抗措置が発動されると「TOBを維持することが、著しく経済合理性を欠くことになりかねない」ためとした。5月9日に撤回届を関東財務局に提出し、応募済みの株主に株券の返還を始める。

 牧野側の対抗措置は新株予約権の発行で株式を希釈化し、TOB後の完全子会社化を難しくする手法。今後ホワイトナイト(友好的な買収者)から出てくる競合提案のために、時間的な余裕が必要だと主張し、約1カ月のTOBの延期を求めていたが、ニデックが拒否したため発動を決めた。

 ニデック側では「価格のつり上げ競争はしない」(幹部)として、当初のTOB価格での買い取りが難しくなった場合には、買収から撤退する方針を示していた。

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