最高峰の将棋を学びたい――。元名人で前期挑戦者でもある棋士の心には率直な動機があった。藤井聡太名人(22)に永瀬拓矢九段(32)が挑戦している第83期将棋名人戦七番勝負(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛)の第3局が9日午前、大阪府泉佐野市のホテル日航関西空港で始まった。朝日新聞解説と副立会人を務めるのは前期七番勝負で藤井名人に挑戦した豊島将之九段(35)。両者と数多くの名勝負を戦ってきた棋士が今期名人戦を、今の自分をどう見つめているのかを前日に聞いた。
――名人戦の副立会人は8年ぶりです。
七段くらいの時に何度かさせていただいた記憶があります。お仕事を頂けること自体が本当にありがたいですし、最高峰の将棋を勉強する機会なので、明日からの対局も楽しみにしています。
――関西空港での第3局ですが、昨期の七番勝負で空港での対局(第3局、羽田空港第1ターミナル)を経験されています。
過去にないことでしたので、貴重な経験をさせていただきました。関空は国際線や夜遅い時間の便で使わせていただいています。泉佐野市は私のアマチュア時代の師匠である土井春左右(はるぞう)先生(指導棋士七段)がずっと住まわれている場所なので、なんとなくなじみがありますね。
――大阪と言えば、今はなんと言っても万博が開催中です。
まだ予定はないですけど、話題にもなっていますし行ってみたいです。(公式キャラクターの)ミャクミャクですか……? 斬新なデザインだなあって思いましたけど、何回も見ているうちに違和感を抱かなくなってかわいく感じるようになってきました(笑)。
――さて、解説いただく名人戦ですが、第1局、第2局とも角換わりの将棋でした。ただ、2局ともそれぞれ単純な定跡形ではなかった。
1局目は藤井さんが準備していた形になった印象があって、後手番ながらペースを握って指し進めていたと思います。角換わりの中でうまく藤井さんの読みの深さ、終盤の射程の長さが生きる展開になって、あまり先手にチャンスを与えずに勝ち切った勝負だったかなと思います。
――終盤の37手詰めの鮮やかな読み切りも話題になりました。
難しい詰みですけど、藤井さ…