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モスクワで2025年5月9日、対独戦勝80年式典の軍事パレードで演説するロシアのプーチン大統領。ノーボスチ通信提供=AP
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 ロシアのプーチン大統領が9日に行った対独戦勝80年の演説は、ウクライナ侵攻を続けていながら、「平和的な姿勢」を強調する内容だった。どのような狙いがあったのか。

 「我々は今日、数百万人の命をかけ、全人類の自由を勝ち取った世代への誇りで結ばれている」。プーチン氏はそう述べた。

 プーチン政権は戦勝80年をソ連の功績に重ね合わせ、侵攻の正当性を国際社会にアピールする考えだ。侵攻の理由については、同国政府を「ネオナチ」と決めつけるなど根拠の乏しいものばかりだが、ソ連がナチス・ドイツに対する連合国の勝利に大きく貢献した事実には、他国も異議を唱えにくい。ソ連は第2次世界大戦中、参戦国で最多となる2700万人の犠牲者を出し、国民の中にも、ドイツへの勝利を「世界に貢献した歴史」と自負する気持ちが強い。

視線の先にいるトランプ氏

 プーチン氏は侵攻3年目の昨年から、将来の和平交渉をにらんで攻撃的な発言が少なくなった。むしろ、ロシアがウクライナや米欧の「被害者」であるかのように振る舞う姿勢を強めている。

 最近、相次いで一方的な休戦…

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