「これで、一切のかかわりが終わる」
2013年の12月。当時50代の公務員だった男性は、自宅近くのATMで80万円を振り込み、解放感に包まれていた。
お金の送り先は、約13年にわたって同居していた大学教員の女性。事実婚を解消するための解決金の最後の分を、払い終えたところだった。
その女性とは1990年代の後半、とある大学での学会で出会った。女性の研究分野と、男性の仕事の領域が重なったことから意気投合して交際に。3年ほどして、東京近郊の2階建ての借家で同居を始めた。
女性は研究者としてのキャリアのため「自分の姓を変えたくない」と言い、男性も同意した。年賀状を連名で出し、友人たちと小さなパーティーを開いて、「自然と」事実婚としての生活がスタートした。当時、女性側に経済的余裕はあまりなく、家賃や食費、光熱費は、すべて男性が負担していた。
同居から3年ほどたつと、女性の様子が変わり始めた。
「離婚」と「事実婚の解消」は何がどう違うのか。記事後半で専門家が解説します。シリーズ【熟年離婚のリアル】、次回は5月17日夕に配信予定です
研究者として希望のポストに…