春季近畿地区高校野球滋賀県大会は、滋賀学園が2年連続2回目の優勝を果たし、10日に幕を下ろした。大会では、監督が代わった近江の戦いぶりにも注目が集まった。
近江は夏17回、春7回の甲子園出場を誇る滋賀を代表する強豪校。36年にわたってチームを率いた多賀章仁さん(65)が3月末で監督を退任して総監督になり、コーチの小森博之さん(41)が後任に就いた。
この春の県大会は、監督に小森さんが就いた近江が、初めて臨んだ公式戦だった。
近江は準々決勝で八幡商を5―3で破って4強入りし、夏の滋賀大会のシード権を獲得。準決勝では彦根総合に4―2で勝利した。
決勝の相手は、長く競い合ってきたライバルの滋賀学園。3年連続で同じカードになった。挑戦者として臨んだが、二回に6失点して滋賀学園に主導権を握られた。相手投手の前にあと一本が出ず、0―8で敗れた。
試合終了後、小森監督はすぐにベンチの前で選手を集めて、こう話した。
「追い込んで練習してないからこうなったんや。夏につなげるためには本物の(ベンチに入る)20人をしっかり見ていかなアカン。こっからが勝負や」
近江の今大会の目標は「最低、滋賀大会のシード権獲得」だった。夏につなげる大会という位置づけだったという。
小森監督は、頭の中で滋賀学園と4回試合をして、決勝に臨んだという。試合後、監督としてチームを率いる難しさを語った。
「コーチの感覚で情が入るとアカン。勉強になった。監督って難しい。難しい、野球って。(多賀さんのように)非情采配もしないといけない。夏に向けて、心も体もシャープになりたい」
選手たちの視線も夏に向く。決勝で先発した背番号1の平井達基投手(3年)は「もっと自分が成長して頼られる存在になり、滋賀学園にリベンジしたい」。