【動画】大阪・関西万博の大屋根リング 夜間の空撮映像=松井充撮影
開幕から1カ月が経った大阪・関西万博。そのシンボルが、1周約2キロの「大屋根リング」だ。大型連休中の5月3日、地上と上空から訪ねた。
会場のゲートをくぐると、端正に組み上げられた木組みが、視界に飛び込んでくる。この日はイタリア半島の小国、サンマリノのナショナルデー。リングの下を、現地の楽団が中世の衣装でパレードした。間近で見るフラッグを操るパフォーマンスは、見知らぬ世界との出会いだ。
エスカレーターで、高さ12~20メートルの屋上に昇ると、158の国・地域によるパビリオンが立ち並ぶのが一望できる。それは、多様性と一体感が両立する、理想的な世界像のようだ。日没後、ヘリでさらに高い上空約2500メートルへ。ライトアップされたリングは、街明かりに負けない輝きを放っていた。
世界最大の木造建築物の記憶は、来場者にも刻まれている。協会による来場者アンケートでは、リングやパビリオンの中で印象に残ったものを尋ねた質問に、約4万2千人の回答者のうち約85%がリングをあげた。
日本国際博覧会協会は、閉幕後もリングの一部を残す方針を固め、規模や費用を巡る具体的な検討を進める。来場者と世界をつなぐリングは、万博の記憶を伝える「レガシー」として、その輝きを未来へつなげるか。議論が続く。