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 東京都立川市で8日、男2人が市立小学校で暴れ、教職員5人がけがをした。その日の朝、児童間のトラブルをめぐり、男の知人の保護者が学校に相談に訪れていたという。子ども同士のトラブルをめぐり、学校は、保護者はどう対応すればよいのか。学校の保護者対応にくわしい小野田正利・大阪大学名誉教授(教育制度学)に聞いた。

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 ――学校の保護者対応はいつごろから問題になったのでしょう。

 1990年代半ばに、まず都市部から、そして地方でも問題になり始めました。「製造物責任法(PL法)」の施行などで消費者意識が高まったことが背景にある、と私は見ています。

 学校選択制など、教育分野でも保護者を多様な選択肢を持つ消費者としてとらえる政策が広がりました。「ひらかれた学校」が求められ、苦情を言いやすくなったこともあるでしょう。

 ――保護者の苦情に学校はどう対応すればよいですか。

 まずは、話をじっくり聞くことです。目撃もしていないのに保護者の話を否定したり、いじめなのに「子ども同士の小競り合い」と判断したりする教師がいます。「学級王国の主」である小学校の担任や、部活動顧問をしている中学校の教師などが陥りがちです。すぐ解決しないと、という意識が強いのです。それはダメです。

 じっくり聞きながら、自分がすぐに対応できることと、すぐには対応できないことに分ける。後者の場合、時間をもらい、他の教職員に相談することです。

 2回目の面談が必要なら、今度は教頭と学年主任など複数で話を聞く。別の状況のとらえかたに気づきやすいからです。

 そして、解決できることか、無理難題か、を線引きする。法的な対応が必要な場合はスクールロイヤー、保護者が心を病んでいる場合はカウンセラーの知恵を借ります。

 ――最近の特徴的な傾向はありますか。

 「筋の通ったクレーム」が増えたことでしょう。

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