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2013年、エチオピアの砂漠を2頭のラクダを連れて歩くポール・サロペックさん=ジョン・スタンマイヤー氏(ナショナルジオグラフィック)撮影

 アメリカ人のジャーナリスト、ポール・サロぺックさん(63)は今、本州を北に向かって歩いている。

 計画は壮大だ。人類の拡散ルートをたどろうと、発祥の地とされる東アフリカのエチオピアから、南米大陸最南端のティエラ・デル・フエゴまで約3万8千キロの道のりを歩く。

 アフリカを拠点に新聞社の特派員を務め、ピュリツァー賞も2度受賞した。紛争、選挙、移民、災害。飛行機でニュースの「点」と「点」を移動する日々。やりがいはあったが、情報の津波におぼれていると感じた。

 ある日飛行機の下に広がる景色を眺めているうちに気づいた。「翼の下にこそ語られるべき物語がある」

 プロジェクトは「アウト・オブ・エデン・ウォーク/人類の旅路を歩く」と名付けられ、ナショナルジオグラフィックの協力を得て、2013年に始まった。

 100マイル(約160キロ…

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