Smiley face
写真・図版
米海兵隊防空統合システム(MADIS)=米インド太平洋軍のホームページから。2025年4月から5月にかけてフィリピン各地で行われた米比合同軍事演習バリカタンで、米第3海兵沿岸連隊はMADISを使った実弾射撃訓練を行った=米海兵隊提供

 米国とフィリピンが主催する多国間軍事演習バリカタンが4月から5月まで、フィリピン各地や近海で行われました。今年は海上自衛隊の護衛艦が初めて参加したほか、米軍も最新鋭の対艦ミサイル発射装置「ネメシス」を初めて配備しました。フィリピン・デラサール大学のレナート・デカストロ教授(安全保障・国際政治)はバリカタン演習について、「台湾有事を想定した様々なシミュレーションを行っている」と指摘します。

  • 「フィリピンは潜水艦を購入するだろう」 日米比安保協力の行方は

 ――今年のバリカタン演習をどうみますか。

 米インド太平洋軍のパパロ司令官は、中国が台湾の封鎖を試みる時にどんな行動を取るのかについて言及していました。中国が台湾に関する何らかの演習を行えば、フィリピンや米国、日本、豪州も何らかの演習を行う、とパパロ氏は中国人に伝えているのです。米比両国はすでに戦争計画を保有しています。演習を通じ、全面的な交戦状態も含めたシミュレーションを行うのです。

 ――ネメシスの役割をどうみていますか。

 ネメシスは米海兵隊によって開発されました。米海兵隊は、以前のような(海岸への上陸を目指す)水陸両用作戦を実施するための機能から、中国の「A2/AD(接近阻止、領域拒否)」戦略に対応するための機能を持つ部隊に変わりつつあります。米海兵隊の攻撃目標は、中国の水上戦力、輸送船などです。(ネメシスを保持することで、目標を攻撃できる)能力があることを中国に示しているのです。

【連載】読み解く 世界の安保危機

ウクライナにとどまらず、パレスチナ情勢や台湾、北朝鮮、サイバー空間、地球規模の気候変動と世界各地で安全保障が揺れています。現場で何が起き、私たちの生活にどう影響するのか。のべ350人以上の国内外の識者へのインタビューを連載でお届けします。

■米タイフォンの継続配備、「…

共有