16日の参院本会議で成立したサイバー攻撃を未然に防ぐ「能動的サイバー防御(ACD)」を導入するための法律。ACD法の国会論戦は3月18日の審議入り以降、衆参の内閣委員会で計約45時間に及んだ。最大の論点となったのは憲法21条が保障する「通信の秘密」との整合性だった。
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参院内閣委での最後の質疑となった15日、野党側は、政府が通信の秘密を侵害することに国民が不安感を抱いていると指摘。石破茂首相は「政府としては、通信の秘密を尊重し、不当に侵害しないよう法律の規定を確実に順守することは当然のことだ」と答弁し、懸念の払拭(ふっしょく)を図った。
法律は、政府が分析する対象を、ネット上の住所にあたるIPアドレスや送受信日時といった機械的情報に限り、メールの本文や件名など「コミュニケーションの本質的な内容」は含まない。政府は「通信の秘密に対する制約は必要やむを得ない限度にとどまる」(平将明・サイバー安全保障担当相)と説明していた。
だが衆院の審議では、通信傍…