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公正取引委員会の委員長を退任する古谷一之氏=2025年5月15日午後4時10分、東京都千代田区霞が関1丁目、高島曜介撮影

 公正取引委員会の古谷一之委員長は退任する15日に記者会見し、経済の変動の中で、「競争政策の守備範囲が広がるタイミングで多くの仕事をさせてもらった」と在任の約4年8カ月間を振り返った。

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 「新たなルール作りやルールの見直しに積極的に取り組んだ」とし、「フリーランス法」やスマートフォンのアプリ市場で支配力の強い巨大IT企業を規制する「スマホソフトウェア競争促進法」(スマホ新法)の制定を挙げた。

 4月には米グーグルの独占禁止法違反(不公正な取引方法)を認定し、巨大IT企業「GAFA(ガーファ)」の一角に初の排除措置命令を出した。古谷氏は「今後、独禁法とスマホ新法の両にらみを基本に、デジタル市場の競争環境整備に取り組んでいくことが必要だ」と述べた。

 約20年ぶりの下請法の抜本改正に向けた審議を進める一方、違反事案も「踏み込んで取り組みを進めた」とした。下請法違反で勧告した件数は昨年度21件で、事業者名を公表する運用を始めた2004年以降で最多だった。

 米国のトランプ政権の関税政策については「賃上げと価格転嫁という、ようやく動き出した好循環に水を差す恐れもある」と指摘。「この流れが後戻りしないように、公正取引委員会としても注意を払っていく必要がある」と述べた。

 古谷氏の後任には、前財務事務次官の茶谷栄治氏が就く。

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