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 約3800人が犠牲になったとされる3月末の地震から1カ月半が経つミャンマーで、首都ネピドーの復興が進まず、被災者が不安を募らせている。公務員官舎や省庁が損壊し、行政機能への影響も長期化。全権を握る国軍は年末に予定する総選挙に向けて復興を急ぐが、先行きには不透明感も漂う。

  • ミャンマー被災地、キャンプ増えても「ないもの」ばかり 地震1カ月

 今月上旬、ネピドーでは被災者用テントが集まるキャンプが複数の場所で見られた。

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ミャンマーの首都ネピドーには、被災した公務員らが身を寄せるテントが多数設置されていた。このキャンプでは建設省などの職員やその家族が避難している=2025年5月6日、ネピドー、笠原真撮影

 「仮設住宅に移れる具体的な時期は示されない。私たちに日常は戻るのだろうか」。娘が建設省で働く女性(53)は、蒸し暑いテント内でため息をついた。食料や水は支援団体などからもらえるが、仕立屋の仕事は再開の見込みがなく不安定な日々が続く。本格化する雨期を前に、大勢の公務員とその家族が避難生活を余儀なくされている。

 女性の家族が住んでいた官舎も解体予定という。「ある家族は逃げ遅れ、子どもを含め4人が亡くなったと聞いた。生き残れただけで私たちは幸運だった」

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ミャンマーの首都ネピドーで、損壊して住人がいなくなった公務員官舎。住人のものとみられる写真などが地面に散乱し、放置されていた=2025年5月6日、ネピドー、笠原真撮影

 官舎が集まる地区には1階部分がつぶれた建物が並び、家具やおもちゃが散乱していた。壁のカレンダーは3月のまま。地面に落ちた時計の針も発災時刻の午後0時50分で止まり、ゴーストタウンのような雰囲気だ。独立系メディア・ミジマによると、ネピドーに1500棟ある官舎のうち3分の1以上が居住不能になった。国軍が建設中の仮設住宅は供給が追いついていない。

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