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レソトの首都マセルの縫製工場で働く女性=2025年5月2日、今泉奏撮影

 トランプ政権は、米国がこれまで関税を免除してきたアフリカ諸国にも、高い相互関税を課した。レソトにかけた50%は、中国からの生産移管が進むベトナムの46%やカンボジアの49%などを超える。トランプ大統領の狙いは何か。

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 地層がむき出しの渓谷を背に、牛飼いたちが白い息を吐きながら歩いていく。周囲を南アフリカに囲まれた内陸国レソトは、世界で唯一、国土のすべてが標高1千メートル以上にあり、「天空の王国」の異名を持つ。約200年前に「建国」され、四国の1.6倍ほどの面積に230万人が暮らす。ほとんどがソト人だ。

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レソト王国発祥の地とされる首都マセル郊外ダバボシウの星空=2025年5月2日、今泉奏撮影

 国内総生産(GDP)は約21億ドル(約3100億円)。干ばつや洪水で慢性的な食料不足に悩まされる「最貧国」で、主な産業は農業や縫製業だ。縫製業は国内総生産(GDP)の2割を占め、輸出額の2割が米国向けだ。

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 縫製業が育った背景に米国の…

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