5年に1度の年金制度改革をめぐり、政府は16日に関連法案を閣議決定し、国会に提出した。「働き控え」を防ぐため、厚生年金加入で保険料の支払いが生じる年収「106万円の壁」撤廃などを盛り込んだ。一方、柱としていた基礎年金(国民年金)の底上げ策は、今夏の参院選を見据えた自民党内の反発を受け、除外した。
当初、3月中旬を見込んでいた閣議決定は2カ月ほど遅れた。年金問題は、過去に世論の反発を招いたことから歴代政権の「鬼門」となっており、自民が警戒した。基礎年金の底上げは、財源確保策などの争点化につながるとして法案に入っていないが、立憲民主党などは「復活」を求めており、国会審議の争点となりそうだ。
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「106万円の壁」撤廃は、手厚い厚生年金の加入者を増やし、将来の低年金対策とする狙いもある。パートなど短時間労働者が厚生年金に加入する条件には、現行「51人以上」という企業規模の条件があるが、2035年にはすべての規模の企業を対象にする。
加入による新たな保険料負担を軽減する方策も用意している。働く人と企業が半分ずつ払う保険料の負担割合について、企業側の負担を増やせる特例を導入。その上で、企業側には追加で負担した保険料の全額を戻す。
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