Smiley face
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スタッフの説明が表示されたディスプレー=2025年5月16日午後0時24分、東京都渋谷区、米田怜央撮影

 お客さんと従業員の何げない会話。そんなちょっとしたやりとりが、東京・原宿の東急プラザ原宿「ハラカド」(東京都渋谷区神宮前)のお店で字幕になった。英語に翻訳されたり、笑い声が可視化されたり。聴覚障害者をサポートする試みをしている。

 18日まで開かれている「世界に字幕を添える展」は、トヨタ系の自動車部品大手アイシンが主催している。同社が開発したリアルタイム音声認識アプリケーションシリーズ「YYSystem」を使い、会話を可視化した。

 埼玉県の会社員の女性(45)は商業施設内の花屋を訪れた。2歳ごろから聴力が落ち、人工内耳を使ってはいるが、聞こえづらい。普段の買い物は筆談をしたり、商品の詳細がわからないまま買ったりしているという。

 レジのカウンター越しに口話で、観葉植物を探していると店員に伝えた。すると店員は、店内から植木鉢に入った植物を持ってきた。

 「あんまりお水がいらなくて初心者にもおすすめの植物になっています」

 店員が話すと同時に、カウンターの上にある透明なディスプレーに言葉が表示された。店内はBGMや周囲の声で聞き取りが難しい環境だったが、女性は「店員の説明をきちんと理解できた」と話す。店員は「スムーズに伝えられて楽だった」と振り返る。

自動車部品メーカーがなぜ

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介助者に手話でサービスの感想を伝える聴覚障害者のある女性(左)=2025年5月16日午後1時5分、東京都渋谷区、米田怜央撮影

 12日から始まった「世界に字幕を添える展」では、施設内にある花屋、美容室、雑貨店など17店舗に「YYSystem」を設置した。ディスプレーをレジ横に置いたり、手元のタブレットでアプリを表示させたり。客はアプリを使いながら買い物をし、感想を答えると特典がもらえる。聴覚障害のない人には耳栓の配布をし、聞こえづらい状態での買い物も体験できる。

 日々寄せられる感想は様々だ…

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