Smiley face

記者ドラマ座談会 前編

 不祥事にスキャンダルと激動のテレビ界ですが、春のドラマは粛々と放送中です。テレビ担当の記者が、ゴールデン・プライム帯を中心に連ドラ初回を片っ端から見て採点し、感想を語り合う恒例のドラマ座談会を開催。ランキング形式で、10位から紹介します。話題作でも、賛否は分かれました。

ルール・メンバー

 地上波で放送中の連続ドラマからゴールデン・プライム帯(午後7~11時)を中心に記者6人が各自のおすすめ5作品を1位=5ポイント、2位=4ポイント……と集計。総獲得ポイントで順位付け。
 岩本修弥(30)……座談会は2年目。放送担当になってからテレビをよく見るようになり、かつてのテレビっ子が復活した。ドラマを見ながらゲームをし、お酒も飲む三刀流。
 滝沢文那(37)……座談会では司会役。「続・続・最後から二番目の恋」のエンディングは、思い出野郎Aチームのカバーにグッと来て、通勤時に両方聞いています。
 女屋泰之(33)……妻と見るのが気まずくなるような、かつての昼ドラのようにドロドロとしたドラマが大好物。「魔物」や「夫よ、死んでくれないか」に期待したい。
 西田理人(32)……「続・続・最後から~」と「HEART ATTACK」は使われている音楽も好みでした。11年ぶりのヤエル・ナイム「Go to the River」に歓喜。
 松本紗知(37)……8年ぶりの座談会参加。コロナ禍で韓国ドラマにハマり、最近は「ハイパーナイフ 闇の天才外科医」を夢中になって見ました。
 宮田裕介(35)……「対岸の家事」「しあわせは食べて寝て待て」が好み。座談会のメンバーとは意見が異なりすぎて、おすすめランキングには納得していない。

 滝沢 全員30代で属性が偏ってはいますが、1位に選んだ作品はバラバラでした。

 宮田 票が割れるのは結構珍しい気がします。

期待値が高かったゆえ「ずっこけた」 10位は「キャスター」

 滝沢 10位は2作品。「しあわせは食べて寝て待て」と日曜劇場「キャスター」。話題作の「キャスター」についてはいろいろな意見がありますね。阿部寛さんが型破りな報道キャスターを演じています。

 宮田 私は期待していただけにとても残念でした。フィクションとして振り切るならいいかもしれないけど、微妙に現実に寄せてきているからおかしなことになっている。

 TBSは「報道特集」が一生懸命、兵庫県知事選や関連する問題の取材に取り組んでいるわけで、違和感というか、怒りさえ覚えます。本当に戦っている人が近くにいるはずなのに、エンタメ化に失敗し、バカにしているようにさえ思えてしまう。

 滝沢 報道のTBSですからね。もう少し社内で取材を尽くしてほしかった感じ。この作品うんぬんではなく、「ドラマはがんばってるのに、報道は権力に屈してる」みたいな意見ってありますよね。でも実際の権力者と取材で向き合うことと、現実を題材にフィクションを作ることを一緒にしちゃいけないと思う。言うまでもなく、別の大変さがあるとは思うけど。

 女屋 日曜劇場でやるなら、もっと王道が見たい。巨悪に挑むのかと思ったら、相手は官房長官でも、内容は病院で手術が優先されたという疑惑で、ずっこけました。それでも面白ければいいんだけど……。

 滝沢 とはいえ、視聴率では放送初回が世帯平均14・2%、個人8・7%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と好発進でした。ベスト5に入れていた松本さんはどうですか?

 松本 日曜劇場だからハードルが上がりすぎてるような。確かに現実離れしているけど、面白く飽きさせない作品だとは思いますよ。

7位は「対岸の家事」「なんで私が神説教」「いつか、ヒーロー」

写真・図版
「いつか、ヒーロー」に出演している桐谷健太=ABCテレビ提供

滝沢 7位は5点で3作品。「対岸の家事」「なんで私が神説教」「いつか、ヒーロー」。中でも、宮田さんは「対岸の家事」を1位にしました。TVerのお気に入り登録は高視聴率の「キャスター」より多くて、100万人を超えています。

 宮田 いまの時代は、結婚している/していない、子どもがいる/いない、で社会が細分化されていると思うんです。生きるしんどさはそれぞれ違いがある中で、お互いの立場を想像したり、いたわったりすることが失われていると感じます。だから、ドラマにする価値があるんだと。家事に対する考え方で、雑なコミュニケーションをとってしまい、関係がこじれる描写がうまいと思います。

 滝沢 なるほど。ただ、ベスト5に選んだのは宮田さんだけという……。

 宮田 納得いかないですね。みなさん、何ゆえイマイチでした?

 女屋 いや、狙いはすごくい…

共有