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東京・霞が関の財務省前で、「財務省は解体!」と声を張り上げる人ら=2025年4月29日午後、太田成美撮影

 「財務省は解体!」

 4月29日、東京・霞が関の財務省前。日本はデモが盛んではないと思っていたが、対向車線の歩道までびっしり埋まった人々がシュプレヒコールをあげているのに驚いた。

 話題の「財務省解体デモ」にどのような人が集まっているのか気になり、足を運んだ。後方で消費税の廃止を訴える演説に耳を傾けていた、パート女性(57)に声をかけた。

 川崎市から1時間以上かけて、一人で訪れた。大学3年の長女と高校1年の次女がいるという。なぜデモに参加したのか。「うちの子どもは全額返済しなければならない奨学金を借りていて、要は借金を負わされている。でも外国人留学生は無償で支援が受けられる。日本の政策はおかしいじゃないですか」

 そうした情報をX(旧ツイッター)で収集しているといい、集まった人だかりに「みんな分かってきている」と目を輝かせた。

 「MAGA(米国を再び偉大に)」を信奉するトランプ米大統領の支持者らは、政府高官らによる組織「ディープステート(影の政府)」があると信じているが、この日のデモでは日本の財務省を「ディープステートの手先」と批判する文言や、反ワクチンを主張する文言が書かれたのぼりが立ち並んでいた。

 女性が主張したように、SNS上には日本は税金で外国人留学生に対し、月に十数万円の支援をしているとの批判の投稿がある。だが日本学生支援機構の調査によると、2024年5月時点で学費免除や生活費支援を受ける国費外国人留学生は、留学生全体の約2・8%に過ぎない。

 生活の苦しさや不満の「はけ口」として、根本的な原因とは関係のない陰謀論を信じ、外国人排斥に走る――。韓国で取材した話にそっくりだと思った。

 3月末までソウル支局で勤務したが、非常戒厳を出した尹錫悦(ユンソンニョル)前大統領を支持する人々の主張と重なるのだ。

 ある大学生の男性は、「中国…

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