Smiley face
写真・図版
演習林内で下草を食べるシカ=2020年6月4日、埼玉県秩父市、東京大学秩父演習林提供

 山奥の森林で、シカによる食害でやぶが大幅に減少し、繁殖場所としているウグイスなどの鳥が姿を消している。環境省は、生態系への影響も考慮してシカの捕獲、防除などの計画が立てられるよう、都道府県に向けた新たなガイドラインの策定を進めている。

 埼玉県秩父市にある東京大学秩父演習林。標高1650メートルほどの突出(つんだし)峠付近は針葉樹と広葉樹が混じる森で、かつて木の下には2メートルほどのスズタケが生い茂るやぶがあった。ウグイスやコルリなどやぶを好む鳥が繁殖していたが、シカが食べてしまったためスズタケがなくなった。

写真・図版
2013年6月の突出峠付近の様子。登山道の周りはスズタケが茂っている=埼玉県秩父市、石田健さん撮影

 2007年ごろからスズタケにシカが食べた跡が見られるようになった。10年代半ばには葉のほとんどが食べられてしまい、茎の高さも低くなり、今ではほとんどなくなっている。

写真・図版
2023年7月の突出峠付近の様子。スズタケがなくなって地面が見えている=埼玉県秩父市、石田健さん撮影

 突出峠で長年鳥の調査を続け…

共有