日本酒「獺祭(だっさい)」の蔵元である旭酒造(山口県岩国市)は22日、オーストリアとコラボした獺祭を大阪・関西万博の同国パビリオンでお披露目した。両国を代表する楽団員らが演奏した楽曲を発酵中のタンクに約40日聞かせ続けた「特別な獺祭」で、会場内外で販売していく。
製造は2023年夏にオーストリア側からの提案で始まった。世界最高峰のウィーン・フィルハーモニー管弦楽団の楽団員らと日本センチュリー交響楽団がそれぞれ演奏したヨハン・シュトラウス2世の「入り江のワルツ」を一つの楽曲として編集。旭酒造はその音源を流しながら獺祭を仕込み、今年3月に完成させた。
同社によると、音の波長によってタンクが振動し、酒中に溶けているガスが抜けやすくなって酵母の動きに変化が出るという。担当者は「40日間四六時中聞かせたことで、非常に丸みや柔らかさのある味になった」。
同社の桜井博志会長は「提案を受けたときは天にも昇る心地だった。良い酒を造らなきゃとやってきて、それが味に出ている」と太鼓判を押す。
この日、オーストリアパビリオンで発表会が開かれ、同国連邦産業院のフィリップ・ガーディー副総裁は「最も知られている日本酒とコラボできて光栄だ。音楽と日本酒という両国の文化や価値観が表現された」と話した。
オーストリアパビリオンのテーマから「獺祭 未来を作曲」と命名。720ミリリットルで税込み8千円。8千本限定で、22日から同国パビリオンで、23日からは関西の百貨店やオーストリアなど欧州の一部で、万博が閉幕する10月13日まで販売される。