豊後刀をよみがえらせる――。記者が期待する刀工は「平清明(たいらのきよあき)」と名乗った。刀鍛冶(かじ)の里から6キロほど海側にある大分市三佐の一角に日本刀の鍛錬場を構えている。大分市三佐を含む海に近い一帯は、江戸時代までは岡藩、肥後藩、臼杵藩などの飛び地や幕府領などが入りくんでいた。
本名は、新名公明(にいなこうめい)氏(58)。訪ねた日、大きなしめ縄が張られた鍛錬場から「カキン、カキン」という地響きを伴う音が漏れていた。中をのぞくと、新名氏は弟子と日本刀の折り返し鍛錬をしている最中。金床の上にある真っ赤な鉄に、大槌(おお づち)が正確に振り下ろされていた。
50歳を過ぎて刀鍛冶に 異例の挑戦者
新名氏の本業は造園会社の社…