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中学生のいじめを巡る訴訟の和解に向け、加古川市の対応について説明する市幹部ら=2025年5月26日、兵庫県加古川市役所、大久保直樹撮影

 兵庫県加古川市立中学校2年の女子生徒(当時14)が2016年にいじめを原因に自死し、遺族が市に約7700万円の損害賠償を求めた訴訟で、市は26日、和解金300万円の支払いや謝罪などを盛り込んだ和解案を発表した。来月25日に予定されている協議で和解の成立を目指すという。

 遺族の代理人弁護士は取材に「(発生から)もう9年経つ。前を向くために和解を受け入れる方向になった」と話した。

 市によると、今年4月に神戸地裁姫路支部から和解条項が示され、市として受け入れる方針を決めたという。市は6月3日開会の市議会定例会に議案として提案する。

 訴状によると、生徒は中1のころから部活動でいじめを受けた。顧問と副顧問は部員らにいじめの内容をメモ用紙に書いて提出させたが、顧問は部員同士のトラブルと判断し、副顧問に命じて用紙をシュレッダーにかけて廃棄したとしている。

 いじめは続き、女子生徒は16年9月に自死。市教委が設けた第三者委員会は17年12月、いじめが自死の原因だったとする調査結果を発表した。顧問は第三者委の調査に対し、廃棄したメモは「紛失した」と答えていたという。

 和解条項によると、顧問らがメモを廃棄したことを事実として確認。家族らへの情報提供や説明がなかった点など、市教委と学校の対応について「原告らの心情を深く傷つけた」として市がおわびし、和解金300万円を支払うというもの。

 岡田康裕市長は26日の定例会見で「亡くなった方が戻ってこられるわけでは決してないので、こういう事態を防ぐことができず、あらためて本当に深くおわび申し上げたい。二度とこういうことが起こらないように全力を尽くしたい」と謝罪した。

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