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写真・図版
楽しいお話と絵で長く読み継がれるかこ作品の数々。左から「はははのはなし」「からすのパンやさん」「だるまちゃんとてんぐちゃん」=加古総合研究所提供

【未来への伝言】

戦後80年の今年、改めて語り継ぎたいこと、今だから心に刻みたいことを聞きました。

 ――2018年に92歳で亡くなるまで、600点余りの著作を手がけた絵本作家のかこさとしさんがお父さまです。

 「からすのパンやさん」のような楽しいお話から、「かわ」のような科学絵本まで、多様な題材を自在に創作した印象がありますが、唯一、書けなかったテーマが「戦争」だったそうですね。

 はい、晩年、「戦争の本を作りたいが、なかなかできない」と繰り返しておりました。

 かこの創作の原点は、大学生だった19歳で迎えた敗戦なんです。

育てたかった「本当の賢さ」

 子どもの頃から紙飛行機の改良に熱中し、最先端の技術に興味もあったかこは飛行機に憧れ、中学時代に航空士官を志しました。しかし、近視が進み、体格検査で不合格に。一方で合格して飛行機乗りになった友人たちは特攻で亡くなりました。

 戦後、「生き残った」というより「死にはぐれた」との思いに強くとらわれました。敗戦を境に、手のひら返しで意見を変える大人にも絶望していました。

 これから先、何を生きがいに…

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