【動画】アジア安全保障会議を長年ウォッチしてきた神保謙・慶応大教授のインタビュー=長島一浩撮影
神保謙・慶応大教授インタビュー(上)
アジア・太平洋地域や米欧の国防相らが集う「アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)」が5月末から6月にかけてシンガポールで開かれました。20年にわたり、会議をウォッチしてきた神保謙・慶応大教授に、今回の会議の分析を聞きました。2回にわたってお伝えします。
神保氏へのインタビューの前半では、中国が今年の会議に軍高官の派遣を見送ったことや、米欧の亀裂など、従来の構図との変化について聞きました。
――今年の会議は、中国が軍高官の派遣を見送ったことが注目されました。従来の構図とどう異なるのでしょうか。
「フェーズの変化が現れています。中国がこの会議に初めて国防相を参加させたのは2011年ですが、その後、中国代表団の参加レベルは国防相や軍副参謀長と一定しませんでした。ただ、19年以降はコロナ期間を除き、毎回国防相を参加させてきました」
「50カ国を超える参加国の中でも、国防相に単独の演説セッションが用意されているのは、米国と中国だけです。米中両国が同格で、中国の正当性を主張し、地域の安全保障の議論をリードする場として、また米国や他の諸国との防衛外交を推進する場としての戦略的な価値を、中国はこの会議に見いだしていたのだと思います」
中国国防相が欠席した三つの背景
――にもかかわらず、なぜ今回は中国軍高官が欠席したのでしょうか。
「その背景には、三つあると…