大阪府八尾市立安中(やすなか)小学校の4年1組が16日、学校で栽培していたレタス43株を収穫した。もし収穫までに地元で災害が起きたら、育てた野菜を避難所に配るぞ。大災害をひとごとにしないぞ――。そんな思いで育ててきた。
4年生の社会科では防災を取り上げ、避難所についても学ぶ。この春、先生たちは調べさせた。阪神大震災などの避難所生活で最も食べたかった食品は何だったか。
野菜だった。
なぜ避難所に野菜が届かないのか、児童たちに問いかけた。道路が使えないので、遠くの産地から運べない。電気やガスが来ないので、野菜を加熱できない……。
では、どうすれば?
レタスやキャベツなど、サラダにできる野菜をつくればいいのでは?
そこで、4年1組はレタスを栽培することにした。2組と3組は、キャベツやトウモロコシを栽培することになった。
この日迎えた収穫。栄井禾依(さかいひより)さん(9)は「他の人に食べてもらうので、栽培の気持ちの入れ方が違います」と話した。相野澄真(あいのとうま)さん(9)も「きれいにつくろうと思いました」。幸い災害は起きなかったので、レタスは市内の子ども食堂2カ所に手渡された。
今後、2組と3組で野菜の収穫が続く。そして、学校では一年中、何かしらの「備蓄野菜」を児童たちがつくり続けるという。児童たちは将来、南海トラフ地震などで被災するかもしれない。「もしそうなったときに、避難所で心が折れて支援を待つのではなく、自分ができることをする。そんな大人になってほしい」と真鍋裕子校長(57)は願っている。