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フリーランスの漫画家として活動している30代女性=2024年10月20日午後4時43分、千葉県内、高島曜介撮影

 フリーランス法施行から半年あまり。大手出版社の小学館と光文社による違反が認定され、施行後初の勧告が出された。新法が、弱い立場に置かれがちなフリーランスの保護の助けになる一方で、依然として不安を抱えたまま働く人もいる。

  • 小学館と光文社、フリーランス法違反で初勧告 報酬を期日内に払わず

 「経済的に体力も影響力もある大手の出版社が違反をしていたのは残念。中小企業の模範となってほしいのに」。フリーランスの漫画家の30代女性はそう話す。

 「出版業界では、納品後に初めて契約書を見るのが当たり前だった。法律ができてそれが変わった」という実感もある。

 女性はかつて、作品の連載が始まってから報酬額や印税の支払率をめぐってトラブルになり、連載が休載してしまったこともある。

 昨年11月にフリーランス法が施行され、成果物の内容、報酬額、支払期日といった契約内容を事前に明示する義務が発注者に課された。それからは、仕事を始める前に契約書を文面で確認するようになったという。

 取引先の意識の変化も感じるが、女性は「契約内容を確認する権利があるという支えができて、事前に契約書のドラフト(下書き)も求められるようになった」と話す。ドラフトは案の段階のもので、納得のいく契約に向けて交渉する際の大きな土台になっているという。

支払い忘れられ、聞くと「経理に回してる」

 そうした中で、業界大手の違…

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