全国的に出生数が減るなか、東京都内でもお産ができる施設が減ってきている。2024年の都内の合計特殊出生率は0.96で、全国で唯一、1を下回った。生まれた子どもの数は前年より2千人少ない約8万4千人だった。赤ちゃんが減り、産める施設も減るなか、さらに赤ちゃんが減るという負の連鎖を止める手立てはあるのか。
「あと1年はやりたいが……」。杉並区にある産婦人科クリニックの院長の男性(68)は、お産の扱いをやめようか迷っている。約70年前に父が開業。38歳で継ぎ、地域のお産を支えてきた。
医師は自分1人。昼夜を問わないお産への対応が、体力的にきつくなった。コロナ禍での「産み控え」の影響もあり、扱う分娩数は2018年の295件から昨年は153件と、ほぼ半減。経営状況は厳しい。
22日に投開票される東京都議選(定数127)を前に、東京が抱えるさまざまな課題の現場を取材します。
無痛分娩助成「キャッチーだけど…」
妊婦の望みに応えるため、胎児の様子を立体的な動画で見られる4Dエコーを導入。これを含め医療機器のリース代は月約100万円かかる。初産婦の出産費用は「近隣の医院より高め」の68万円にしているが、物価高で食費も膨らんでおり、「損益分岐点を下回る月もある」。ニーズが高まっている無痛分娩は、体制面や自然分娩を中心にしてきたことから、導入は考えていない。
その無痛分娩について、都は…