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4月、東京・六本木の俳優座劇場が約70年の歴史に幕を下ろした。戦後の新劇ブームをリードし、多くの名演を生んだ劇場の歩みからは街の変遷も浮かんでくる。

写真・図版
最終公演を終え、立つ人のいなくなった「俳優座劇場」のステージから客席を望む=2025年4月24日、東京都港区の俳優座劇場、角野貴之撮影

 戦前は旧陸軍、戦後は進駐軍の施設が立つ「軍の街」だった六本木に、俳優座劇場が誕生したのは1954年のことだ。

「もっと田舎だった」六本木

 「街がね、もっと田舎だったんですけどね。高い建物もなかった」と振り返るのは、俳優の仲代達矢さん(92)。劇場が開場する2年前、既に六本木にあった劇団俳優座の養成所に4期生として入所。開場翌年に晴れて劇団員となった。

 劇場建設は劇団の10周年記…

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