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関西テレビ放送プロデューサーの迫川緑さん

 障害がある子も、「問題児」とされる子も、みんなが同じ教室で過ごす。そんなドキュメンタリー映画を製作した関西テレビ放送プロデューサーの迫川緑さんは、映画の見られ方に違和感を抱いたと言います。伝えたかったこと、伝わらなかったこととは。

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排除のない教室で起きたこと

 困難を抱える人を目にした時、「支えてあげたい」と思う人は多いでしょう。様々な分野で、当事者の声を受けた支援も広がっています。一方で、私たちは「困難を生んでいるものは何か」を問い、困難を生む社会のあり方を変えようと考えることができなくなっているように感じます。

 10年ほど前、大阪市内の公立小を舞台にした「みんなの学校」というドキュメンタリー映画の製作に携わりました。伝えたかったのは、「分けない」ことでした。この学校では、障害児も「問題児」とされる子も、みんなが同じ教室で過ごしていました。他の学校では異質な存在となってしまう子であっても、排除のない教室では、子どもたちが「当たり前の存在」と受け止めます。「子どもを育む場で誰も排除されるべきではない」「誰も排除しない場こそ、誰もが安心して過ごせる場なんだ」という思いを込めました。

問われるべきものは何か

 ですが、映画をみた人の反応…

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