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仲岡しゅんさん

 「海外の一部の国では、代理出産ができているため、実際に代理出産で子を持つ家庭もあるでしょう。しかし、そうであるからといって、それを制度として認めるのはあまりにも問題が大きすぎます」

 6月15日配信の記事「子宮のない女性、子を持つための選択肢は 日本では難しい代理出産も」に、弁護士の仲岡しゅんさんは、こうコメントした。

 記事では、生まれつきや摘出によって子宮がない女性が子どもを望む場合に考えられる選択肢として、里親や養子縁組といった制度のほかに、代理母に妊娠・出産してもらう「代理出産」や、研究が進む「子宮移植」といった手法があることを紹介した。このうち代理出産については、国内では日本産科婦人科学会が認めておらず、希望者は米国など海外で行う場合もあることを伝えた。

 仲岡さんは、コメントの冒頭で「代理出産の制度化は許すべきではありません」と指摘した。理由として、まず「代理母の身体にかかる負担やリスク」を挙げたほか、子どもの引き渡しや引き取りを拒むなどのトラブルが起きた場合に「解決が困難」とした。

 契約があるから大丈夫だという声があることに対しては、「そもそも人の命のやり取りは契約に委ねられるような問題ではありません」との考えを示した。加えて、代理出産には多額の費用がかかることから「お金持ちだけの選択肢」であり、同時に「貧困女性の身体の搾取にも繫がりかねない」と訴えた。

 最後に仲岡さんは「私を含め、自分で子を産むことができない人は少なからずいます」とした上で、これまで弁護士として活動する中で、たとえ血縁関係がなくても深い愛情でつながっている親子を実際に見てきたとして、こう言葉を投げかけた。

 「他人の母体に負担をかけてまで血縁関係にこだわるより、血縁関係のみを前提としない親子関係のあり方を認めていくべきではないでしょうか?」

 この記事や、仲岡さんのコメント全文はこちらから(https://t.asahi.com/wp3j)。同じ記事には、国境なき医師団看護師の白川優子さんもコメントしています。あわせてご覧ください。

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