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北海道内を回るルートや食事などについて話し合う修学旅行係の生徒たち=2025年5月22日、横浜市南区の神奈川県立横浜清陵高校、足立朋子撮影

 物価高騰が神奈川県立高校の修学旅行を直撃している。交通費や宿泊費の値上がりによる見直しが相次ぎ、県内で定番だった沖縄への訪問を変更する動きもある。企画段階から生徒の関わりを高める試みもある一方、積み重ねてきた平和学習のノウハウを惜しむ声もある。

 横浜市の県立横浜清陵高校では、今月下旬に2年生が出かける修学旅行の行き先を、例年の沖縄から北海道に変更した。

 きっかけは2年前の2月。修学旅行は入念な準備が必要なため、新入生が入学する前に学校側で手配を始める。業者とやりとりすると、物価高騰のため、1人あたりの旅費の上限である「10万円」では収まりそうにないことがわかった。

神奈川県立高の上限「10万円」

 修学旅行は学習指導要領に基づく特別活動で、各校が計画する。原則自己負担のため、県教育委員会は「保護者の過度の負担にならないよう」とし、口頭で各校に「国内の場合は10万円以内」と指導している。

 清陵の教員会議では「3泊4日の日程を2泊3日にしては」との案も出た。しかし、移動に時間がかかるなかで日程を短縮すれば、肝心の活動の時間が取れなくなる。「行き先を変えるしかないとの結論になった」と、担当教諭の日下部凌さん(27)は振り返る。

 県中部にある別の県立高校も、今の1年生が来年行く修学旅行について、行く先を沖縄から東北に変更し、入学後すぐに生徒たちに伝えた。

 県教委によると、国内の修学旅行は実施3カ月前までに各校が届け出るシステムのため、最新の状況はわからないが、昨年度、沖縄への修学旅行を実施した県立高校(中等教育学校を含む)は、全日・定時・通信制の155課程のうち、55課程と全体の3分の1ほど。コロナ禍前の2019年度は、同163課程中86課程と半数を超えていた。

運賃安い冬や民泊を選び、懸命の自助努力

 公益財団法人「日本修学旅行…

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