Smiley face
写真・図版
米ホワイトハウスで2025年4月7日、会談を終えた米国のトランプ大統領(左)とイスラエルのネタニヤフ首相=ロイター

 トランプ米大統領は23日午後6時(日本時間24日午前7時)すぎ、イスラエルとイランの間で「完全かつ全面的な停戦が合意された」とSNSに投稿した。7時間後には停戦発効を表明。米国の参戦で極限まで高まった緊張は沈静化に向かうかに見えるが、「薄氷の合意」は極めて危うい状態だ。

 トランプ氏は最初の投稿で、まずイランが攻撃を停止し、その後、イスラエルも停止すると説明。24時間後に交戦を終わらせるとした。「12日間戦争の正式な終結」を迎えることになると主張し、「この戦争は何年も続き、中東全体を滅ぼす可能性もあったが、そうはならなかった。これからも決してならない!」と強調した。

 24日午前1時(同24日午後2時)すぎには「いま停戦が発効した。どうか違反しないでくれ!」と再び投稿した。

 イスラエル首相府は同日、停戦に同意したと声明で発表。イランの核や弾道ミサイルの脅威排除という目的を達成したとし、「いかなる停戦違反に対しても強力に対応する」とした。一方、イランは国防の重要政策を決める国家安全保障最高評議会が声明を出し、政府系のイラン学生通信によると、イスラエルに「決定的な反撃」を加えたことで自ら攻撃をやめたと主張し、停戦を事実上受け入れた。イランの国営放送も同日、この日午前7時半(同午後1時)から停戦が有効になったと報道。この時間より前に、イランからイスラエルに対する攻撃は終了したとした。

 イスラエルは、トランプ氏が「停戦発効」とした後もイランがミサイルを発射したとしている。イスラエル軍トップのザミール参謀総長は24日、「イランによる重大な停戦違反があった」として「武力で対応する」と反撃を表明。首相府は、テヘラン近郊のレーダー施設を破壊したと発表した。イランメディアによると、イラン側はイスラエルへの攻撃を否定したという。

 トランプ氏は24日朝、北大西洋条約機構(NATO)首脳会議に出席するためオランダ・ハーグに出発する前、記者団に両国に停戦違反があったとして不満を示した。特にイスラエル側に矛先を向け、SNSで「爆弾を投下するな。投下すれば重大な違反だ!」と警告。その40分後には「イスラエルはイランを攻撃しない。すべての飛行機は引き返すだろう」と投稿し、イスラエルを説得したことをにおわせ、再度「停戦は有効だ!」と主張した。

 イスラエルは今月13日、核と弾道ミサイルの脅威を取り除くためだとしてイランへの攻撃を開始し、核施設や防空システム、弾道ミサイル拠点などを空爆。イランの「イスラム革命防衛隊」の幹部や、核開発に関わる科学者を殺害していた。

 イラン保健省の報道官は24日、同日時点で610人が死亡、4746人が負傷したと発表した。

 イラン側は弾道ミサイルなどで応酬。イスラエル北部ハイファや商都テルアビブなどに着弾し、イスラエルの死者数は、同国メディアによると24日時点で28人にのぼっている。

共有