2万人に1人と言われる国指定の難病を抱えながら、8度の手術を乗り越えて高校野球に打ち込む。8度目の手術を担当したのは、医師である野球部員の父。家族の支えを胸に、病気に立ち向かいながら、打席に立つ日を夢見ている。
今春、青森南高校の野球部に入部した亀井凰介さん(15)が抱えるのは「軟骨無形成症」。遺伝子の変異で、骨の成長が妨げられる病気だ。そのため、手足が短く、身長が低くなる。
運動はみんなと同じようにはできない。小学校のマラソン大会では、何周も周回遅れになった。
そんな亀井さんにとって、野球は小さいころからテレビの中の世界のものだった。画面の中で選手が打って、投げて、走る姿に「かっこいい」と憧れた。小学生の時に野球をやりたかった。でも病気の体では無理だった。球場にも行ったことがなかった。
「ほかの人たちと違うのが嫌。少しでも近づきたかった」と亀井さん。
小学校を卒業すると養護学校に入り、手術により3年間で腕と足の骨を伸ばす計画を立てた。
骨を人工的に切断し、折れた骨が再生することで伸ばすというもの。痛みがひどく、途中で耐えられなくなる人もいるという。その手術を8回行った。
養護学校での3年間はほぼ車いすでの生活だった。再生した大腿(だいたい)骨が折れたこともある。両親は泣きながら「頑張ろう」と亀井さんを励まし続けた。
そして2024年の最後の手術を行った1人が、父親だった。
医師である父は、病気と闘う…